アキレス腱断裂
原因
アキレス腱断裂は、主にスポーツ中にジャンプやダッシュなど、アキレス腱に強い力がかかった時に発生します。特に、30~40歳代では球技やラケットを用いるスポーツでの受傷が多く見られます。一方、50歳代以上では、日常生活の動作中にもアキレス腱断裂が生じることがあります。
男性に多く見られ、スポーツ参加人口の増加や高齢化に伴い、近年では患者数が増加しています。アキレス腱の肥厚や年齢による腱の変性が進行すると、アキレス腱断裂を引き起こしやすい状態になります。また、脂質異常症などの内科疾患や、抗菌薬やステロイドなどの薬剤も原因となることがあります。
症状
アキレス腱断裂を受傷した際、患者さんはふくらはぎを「バットで叩かれた」や「後ろから蹴られた」ように感じることがあります。時には、実際に「ブチっ」と音がすることもあります。受傷後、つま先立ちができなくなりますが、歩行はできる場合もあります。このため、「歩けるから」と自己判断で受診せず、経過を観察してしまうことがあります。
見た目には、断裂した部分が陥没していることが分かる場合があります。
診断
診断の基本は詳しい問診と徒手検査です。徒手検査にはトンプソンテストなどがあります。
画像検査ではMRIや超音波検査が有用です。レントゲン検査は骨折など他の外傷を見逃さないために行います。
治療
保存的療法・理学療法
断裂の治癒状態を見ながらギプス固定の期間や理学療法の程度を決めます。
その後専用の装具でかかとの高さを調節しながら理学療法を進めます。
手術による合併症リスクはありませんが、歩行までに時間がかかります。
不適切な保存療法では、アキレス腱が弛緩したまま治癒して蹴りだす力が低下することもあります。
手術療法
断裂したアキレス腱を縫合する手術を行います。合併症リスクはありますが、歩行やスポーツ復帰までの期間は短く再断裂率も低いです。
患者さんの目的により治療方法を選択します。目安として、競技レベルのスポーツをしており、早期復帰を希望する方や再断裂を起こしたくない方は手術のよい適応です。日常的にスポーツをしていない方や手術の合併症が気になる方は保存治療を選択してもよいでしょう。
当クリニックでは、患者様の症状や治療に合わせた疾患別パンフレットをご用意しています。
下記リンクからもダウンロードできますので、ご活用ください。