舟状骨(しゅうじょうこつ)骨折

原因

舟状骨は手関節にある8つの手根骨の1つで親指側にあり、手根骨の中でも重要なものの1つです。船底のような形をしているので舟状骨と言います。

舟状骨は、母指の列にあるため他の指の列とは45度傾いて存在します。そのため舟状骨の骨折は、通常のレントゲン写真の撮り方では骨折は見えにくく、見逃されてしまうこともあります。

舟状骨骨折の原因としては、スポーツや交通事故などで手首を背屈させられて、手をついた時に生じることが多いです。

舟状骨骨折には、いろいろな折れ方があります。最も多い骨折部位は、舟状骨の腰部と呼ばれるくびれた部分です。舟状骨は、指先の側から手首に向かって血行があるので、腰部に骨折が生じるとその中枢側の血行不全が生じやすく、偽関節(※)になりやすい骨折です。

(※)偽関節とは:骨折した骨がつかず、関節のように動くものをいいます。

症状

急性期では、手首の親指側に痛みがあります。急性期を過ぎると一時軽快します。

症状が軽快したために、骨折ではなく捻挫したと思い放置すると、偽関節になることが多いのが特徴です。

偽関節になると、手首に痛みが生じてきて、力が入らなくなり、動きにくくなります。

診断

受傷後に手首の痛みや腫れが続く場合はこの骨折(偽関節)も疑い、レントゲン検査が必要です。

しかし初期には普通のX線検査でも発見されにくいことが多く、放置すると偽関節になります。そのため、わかりにくい場合はCTやMRIなどの精密検査を行うこともあります。

治療

この骨は血行が悪いため、非常に治りにくい骨折の一つです。

早期に発見された場合、ギプス固定で治すこともあります。この固定が長期に及ぶことも多いため、手術治療として、特殊ネジによる内固定を行って治療期間を短縮することも積極的に行われています。

また偽関節になったものでは、放置すると手首全体が悪くなってくることが多いため、手術が必要になります。

ギプス固定

ネジによる固定