鎖骨骨折
原因
全骨折の10%を占めます。大部分は外傷によるもので、若年者では交通事故、高齢者では転倒によるものが多いです。小児の骨折では最も頻度が高く、多くは分娩時に起こります。多くは鎖骨の中央に生じます。内側(頭側)は頻度が少ないものの、胸部や頭頚部の損傷を合併していることが多く注意が必要です。非外傷性では、スポーツによる疲労骨折や放射線治療後の感染、がんによる骨折が報告されています。
症状
骨折部位の皮下出血、腫れ、変形、動かすと悪化する痛みが生じます。鎖骨は皮下の浅い位置に存在するため、転移が大きい場合は皮下に骨折部の突出が確認できます。この状態が続くと、皮膚壊死が生じて解放骨折に移行することがあるので注意が必要です。腕神経叢損傷や動脈損傷を合併することもあります。
診断
多くはレントゲン検査で診断できます。外側の骨折は肩鎖関節脱臼と紛らわしく、画像検査で鑑別します。転位の方向や程度などの詳細な評価にはCTが有用です。
治療
保存療法
転位が小さい場合は、クラビクルバンドや三角巾を用いた保存療法を行います。小児の場合は転位があっても自家矯正が期待できるため、保存療法を選択します。年齢にもよりますが2~6週間程度は装具で固定し、痛みやレントゲン画像を確認しながら徐々に肩を動かしていきます。クラビクルバンドは骨折部の短縮が予防でき、三角巾に比べて両手が悪メリットがありますが、締めすぎると皮膚トラブルの原因になるため、注意が必要です。
手術療法
転移が大きい場合や、粉砕が強い場合は、偽関節のリスクや変形残存による整容面の問題があるため、手術が考慮されます。また転移が小さくても早期の社会復帰やスポーツ復帰を望む場合も手術も考慮されます。手術には様々な方法がありますが、骨癒合後に再手術をして、使用した金属を除去することもあります。術後は2週間目くらいから徐々に肩を動かしていき、レントゲン画像で骨がついたことを確認した後に、スポーツなどの復帰が許可されます。
保存療法にするか手術療法にするかは、患者さんの年齢や活動性などを考慮しながら、希望をもとに決定します。
当クリニックでは、患者様の症状や治療に合わせた疾患別パンフレットをご用意しています。
下記リンクからもダウンロードできますので、ご活用ください。