【大きな転換期】大学院入学への決意【院長の人生ノート29】

 次の選択は大学院に進むか否かです。正直にいって、北大整形に入局した当初は大学院に行くことは全く考えていませんでした。その理由の一つに、大学院に進学することで臨床から離れるため、その分だけ臨床経験が少なくなるのではないかという懸念がありました。大学研修の1年も実臨床とは離れており、大学院での4年と併せると、合計で5年間も手術などは行わず臨床から離れることになります。同世代の医師と、臨床経験で差がつくのではないかという焦りがありました。

 ただ、臨床現場を経験するにつれ、臨床での外来診療や手術は、今後も現役医師でいる限りは続けていくことになるが、大学院で一つのテーマをじっくりと考えて過ごすことができるのは今だけなのではないかと考えるようになりました。他の先輩方もそうであったように、脊椎外科医としてのスタートが遅れても大学院を出てから手術の腕を磨けばよく、大学院での研究生活は長い医師人生の中で決して無駄にはならないはずです。そこで、私は脊柱を専門としたうえで大学院への進学を決意しました。

 当時の脊柱班の大学院のグループは2つありました。脊柱班チーフである高畑雅彦先生を中心とする骨代謝グループと、須藤英毅先生を中心とする椎間板グループです。私の高知大学の同期で、1年先に北大整形に入局していた太田君が、同じ年に脊柱班に入り骨代謝グループで大学院に進学することを決めていため、私は椎間板グループの大学院生として入学することになりました。

 1月に大学院の入学試験を終え、大学研修を終えた4月から、晴れて北海道大学大学院医学研究科整形外科学分野に入学することになりました。今まで研究というものをしたことがない私にとっては、医師人生の中でも大きな転換点となる出来事でした。

北大病院前の銀杏並木

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