【大学院時代】椎間板研究のスタート【院長の人生ノート30】

2024年4月、私は北海道大学大学院医学研究科整形外科学分野に入学しました。脊柱班の須藤英毅先生の指導のもと、椎間板に関する研究を行うことになりました。私に与えられた研究テーマは「高純度アルギン酸ゲルを用いた椎間板再生」というものでした。
高純度アルギン酸ゲルとは、通常は不純物が混じるため生体毒性が生じるアルギン酸を、極限まで毒性を低減し生体利用できるようにした生体材料です。私の研究の前には、北大整形外科の軟骨再生グループが動物の膝軟骨欠損に対し高純度アルギン酸ゲルを移植し、軟骨再生に成功したと報告していました。私の大学院での研究生活は、その生体材料を椎間板再生の研究に応用できないかどうかを検証することが命題となりました。
もちろん私は、今まで全く研究というものをやったことがありませんでした。ですので、初めは研究の進め方が全く分かりません。椎間板グループには岩崎浩司先生と大西貴士先生という二人の先輩がおりましたが、私の研究は周りでは全く誰もやっていない分野でした。本来の研究とはそういうものであるとは思いますが、当時の私は突然大海の中に一人放り出されたような感覚で、初めは何をしたらいいのか全く分かりません。手探りで自ら過去の論文を調べて実験方法を開拓していくといった感じで非常に苦労しました。

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