骨折を防ぐ新アプローチ:重症骨粗しょう症に対する『イベニティ®(ロモソズマブ)』治療ガイド

こんにちは!
枚方大橋つじもと整形外科クリニックです。

本日は2019年に発売を開始された骨粗しょう症治療薬「イベ二ティ®」について説明します。

目次

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症は、骨の強度が低下して“ちょっとした転倒・くしゃみ”でも骨折しやすくなる病気です。特に高齢になると、背骨・手首・足の付け根(大腿骨近位部)などで骨折を起こし、要介護に至るリスクが高まるため、早めの対策が重要です。

女性では、要介護に至る原因の第2位が骨折です

『イベニティ®(一般名:ロモソズマブ)』とは?

イベニティは、骨折の危険性が高い骨粗しょう症に対して使用される治療薬です。
この薬の特徴は、

  • 骨を「つくる」働きを促す(骨形成促進)
  • 骨を「壊す」働きを抑える(骨吸収抑制)

という2つの作用(「デュアル・エフェクト」)を併せ持つ点です。
従来の骨粗しょう症薬とは異なるメカニズムで、骨密度を改善し、骨折予防効果が期待されています。

どんな人に使われるの?

イベニティは「骨折の危険性の高い骨粗しょう症」と診断された方を対象としています。
主な対象となる条件例としては

  • 骨密度値が-2.5SD以下で1個以上の脆弱性骨折を有する
  • 腰椎骨密度が-3.3SD未満
  • 既存椎体骨折の数が2個以上
  • 既存椎体骨折の半定量評価法結果がグレード3
椎体変形の半定量的評価法(semiquantitative method:SQ法)

当院では、骨粗しょう症検査・骨密度測定・骨折既往の有無を踏まえて、専門医が最適な治療を判断いたします。

治療の流れ・方法

  • 通常、1か月に1回の皮下注射を12か月間継続します。
  • 注射終了後も、骨粗しょう症の治療は継続が一般的で、他の薬に切り替える場合があります。
  • 治療中は、カルシウム・ビタミンDの補給・定期検査(骨密度・血液検査)なども大切です。

当院でのフォロー体制として、運動療法・栄養指導・生活習慣改善も併せてご案内しています。

期待される効果

  • 臨床試験では、腰椎・大腿骨近位部などの骨密度(BMD)が有意に上昇した報告があります。
  • 投与期間(通常12ヵ月)中に骨折リスクの高い患者に対して骨折発生率を低下させるエビデンスがあります。
  • 当院では、骨粗しょう症・骨折予防を意識して治療を行いますので、理学療法・栄養指導・生活習慣改善と相まって“骨を強くする”支援が可能です。

イベ二ティ®の費用

自己負担割合一月の費用
3割約15,040円
2割約10,020円
1割約5,010円

※診察料・注射手技料・検査料などは別でかかります。

イベニティは少し費用のかかるお薬ですが、確かな効果が期待できることに加え、月1回の通院で済む手軽さや、治療期間が1年間と決まっている安心感から、当院でも多くの方にお選びいただいています。

イベニティ®治療で気をつけたいこと

イベニティは、骨を強くして骨折を防ぐ効果が高いお薬ですが、安全に治療を続けるためにはいくつかの注意点があります。
当院では、治療前にしっかり検査を行い、リスクを確認したうえで安全に投与できるよう体制を整えています。

■心臓や脳の血管に関する注意

ごくまれに、心筋梗塞や脳梗塞などの血管のトラブルが報告されています。
そのため、過去1年以内に心臓や脳の病気をされた方には、原則として他の治療を検討する場合があります。

治療中に胸の痛み・強い息切れ・片方の手足のしびれ・意識がぼんやりするなどの症状が出た場合は、早めに医療機関へご相談ください。
定期的な検査や問診を行いながら、安全に治療を進めます。

■血液中のカルシウムについて

イベニティを使うと、骨をつくる働きが活発になるため、一時的に血液中のカルシウムが減ることがあります。
多くの場合は軽度で問題ありませんが、念のため、治療中はカルシウムやビタミンDの摂取を心がけることをおすすめしています。

腎臓が悪い方などでは、カルシウムのバランスに注意が必要ですので、血液検査でしっかり確認しながら治療を進めます。

■お口の健康にも気をつけましょう

ごくまれに、あごの骨が炎症を起こす(顎骨壊死)という副作用が報告されています。
これは歯の抜歯などで傷ができたあとに起こることがあるため、治療前に歯科受診をおすすめしています。
治療中も定期的な歯科検診と、毎日の歯みがき・口腔ケア
が大切です。

■足の付け根の違和感に気づいたら

まれに、大腿骨(太ももの骨)の一部にひびのような小さな骨折が起きることがあります。
足の付け根や太ももに痛みや違和感があるときは、我慢せずにご相談ください。
早期に発見すれば重症化を防ぐことができます。

■治療の期間とアフターケア

イベニティは、1か月に1回の注射を12か月続けるお薬です。
この期間で骨をしっかり強くしたあとも、骨密度を維持するために他のお薬へ切り替えることがあります。
当院では、治療の切り替えやフォローアップも含めて、継続的にサポートしています。

安心して治療を受けていただくために

イベニティは、これまで骨折を繰り返していた方や、骨が極端に弱っている方にとって、骨を強くする力が大きい新しい治療薬です。
当院では、医師・看護師・理学療法士が連携し、患者さん一人ひとりに合わせた安全で効果的な治療計画を立てています。
気になることや不安があれば、どんなことでも遠慮なくご相談ください。

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