大腿骨頚部骨折

原因

大腿骨頚部は、転倒によって外力が集中しやすく骨折しやすい部位です。

弱い外力でも骨折し、骨粗しょう症のある高齢者、特に女性に多く見られます。骨の脆弱化が進むと転倒などがなくても、普段の動きや体をねじることでも骨折することがあります。

血液循環があまりよくない部位なので、骨癒合しにくいとされています。

症状

転倒したまま起き上がれず、股関節に痛みが生じます。立ったり歩けないほか、仰向けから膝立や足を持ち上げる動作も難しくなります。

不完全骨折(完全に折れていない状態)では痛みはあっても動けることもありますが、そのまま活動を続けると完全骨折に移行します。骨折した側の足が外側に向いたり(外旋)、短くなることもあります。

外見からは出血や腫れが分からないため、出血による貧血の進行など全身状態にも変化がみられることもあります。


診断

もし高齢者が転んだりした後立てなくなったら第一にこの骨折を考えて、痛む場所を確認しレントゲン検査を行います。

亀裂骨折(いわゆる「ひび」)で判りにくい場合はMRIで診断可能です。時々骨盤の亀裂骨折と間違えられることがありますが、骨盤の亀裂骨折では、多くの場合歩行は何とか可能です。

治療

手術療法

高齢で全身状態が不良で手術による合併症のリスクが大きい場合などの場合、手術は行わず保存療法で対処することもありますが、基本は手術を行います。

転位がわずかな場合には、骨どうしを器具で固定する骨接合術(スクリュー固定術)、高齢者で転位が強い場合は人工骨頭置換術を行います。

予防と再受傷防止

骨折の治療と共に骨粗しょう症治療も行います。内服や注射による薬物療法、食事療法、運動療法など骨折をさせない体つくりに努めます。

また、大腿骨頚部骨折の受傷原因の多くは転倒です。そのため、日頃からつまずきや転倒を防ぐために、家のなかの環境などを整えておくことが大切です。

▶参考:日本整形外科学会


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