痛風
症状
暴飲暴食した翌朝、急に足の親指の付け根が腫れて痛くなることがあります。(最初の痛風発作の7割が足の付け根に来ると言われています。)風が吹いただけでも痛いということで、この名称で呼ばれています。
足関節、足の甲、アキレス腱の付け根、膝、手関節などにも起きます。 関節以外では耳介の痛風結節や尿路結石などです。生活習慣病(肥満や高血圧など)を合併することもあります。何度もこの発作を経験している人は、前兆を感じることがあります。
尿酸値が高い「痛風予備軍」の時期です。
この時期には、足のむずむず感や違和感、不快感を感じます。
ある日突然、痛風発作に襲われます。痛風発作は夜中から明け方に起きることが多く、痛みのピークは発症後2~3日間続きます。その後、2週間以内に痛みはなくなります。
適切な治療を受けて生活改善しないと、痛風発作を繰り返す「間欠期」に移行します。
足の関節などに腫れや痛みが生じ始めます。
だんだん発作の間隔が短くなり、やがて常に痛みや腫れがある「慢性期」になります。
原因
血液中の尿酸が上昇(高尿酸血症)すると、それが関節の軟骨や関節を守る滑膜にくっついて結晶となり、どんどん溜まっていってしまいます。これを免疫細胞である白血球が異物として攻撃します。このとき白血球が出す炎症物質が激しい痛みや腫れを引き起こすのです。炎症が起こります(痛風発作)。
また高尿酸血症が続くと尿酸が腎臓にたまり、腎障害を起こします。高尿酸血症は、腎臓からの尿酸の排出能力が弱かったり、暴飲暴食、肥満、激しい運動などが原因で生じます。また血液疾患や腎疾患等の他に、利尿剤などの薬物も原因となることがあります。
血液中に尿酸が増える原因
尿酸は肝臓でつくられる代謝物のことです。
肝臓にはプリン体という物質が貯蔵されていて、これがエネルギー源になっています。尿酸は、このプリン体が分解されるときにつくられます。尿酸は腎臓でろ過され、尿と一緒に排泄されます。
尿酸が増える原因は次の3つがあります。
- 古くなった細胞が新陳代謝で分解されるとともに細胞の老廃物として増える。
- 激しい運動など、大量のエネルギーが使われるときエネルギーの燃えかすとして増える。
- 食品に含まれるプリン体として体内へ入ってきて、肝臓で代謝されて増える。
尿酸自体は体の組織を作るDNAやRNAの原料となり、人の体に欠かせない物質の一つです。
しかし、増えすぎると腎臓での代謝が追い付かず、体内に尿酸が溜まり、高尿酸血症と診断されます。
診断
痛みの性状や局所の腫れ、血液検査をみて診断します。
血液中の血漿尿酸値が、約7.5㎎/㎗より高値になると血液に溶けにくくなり、結晶になりやすくなります。検査室や測定方法により異なりますが、正常値は男3.8~7.5㎎/㎗、女2.4~5.8㎎/㎗です。確定できない時は、 関節液内の尿酸結晶を調べることもあります。
治療
服薬治療
治療には定期的な血液検査(尿酸値と腎機能検査を含む)が必要です。
発作時の治療には、消炎鎮痛薬を用います。
局所麻酔薬入りのステロイドの関節注入も効果的です。前兆症状や発作の鎮静化にはコルヒチンも有効です。
痛風発作が治まってから、尿酸値をコントロールする薬を長期間服用します。
- 体内で尿酸が作られにくくする薬:アロプリノール・フェブキソスタットなど
- 尿酸を体外に出しやすくする薬:ベンズブロマロン・プロベネシドなど
- 尿酸の再吸収を阻害する薬:ドチヌラド
治療は、尿酸値6.0mg/dL以下を目標に行います。薬を飲めば、すぐに尿酸値は下がりますが、やめてしまえばすぐに上がってしまいます。尿酸をコントロールする治療は長期間にわたります。処方された薬を適切に使用するとともに根気よく生活改善を続けることが大事です。
食生活の改善
野菜を主とした食生活に切り替え、尿酸が体内で作られにくくします。
注意が必要な方はプリン体の摂取量を1日400mg以内に収めるようにしましょう。
プリン体は水に溶ける性質があるため、ゆでる・蒸す・煮るといった調理法でプリン体を少なくすることもできます。ただし、ゆで汁・煮汁にはプリン体が溶け込んでいるので飲まないようにしましょう。
ビール・紹興酒などにはプリン体が多く含まれており、飲み過ぎは尿酸値を上げる原因になります。
しかし、プリン体が少ない日本酒・ワイン、プリン体をほとんど含まない焼酎やウイスキーなどにも注意が必要です。それはアルコール自体には、肝臓での尿酸の生産を促進し、腎臓から尿酸の排出を抑制する作用があるからです。
また、アルコールには利尿作用があり、飲酒により体内の水分が減るため結果的に尿酸が凝縮(尿酸値が上がる)してしまいます。
飲酒を控えるとともに、普段からあまり水分を摂取しない人方は、意識して水やお茶を飲むようにしてみてください。
適度な運動
激しい運動は逆に尿酸値を上昇させるので、水泳やウォーキングといった有酸素運動を取り入れましょう。
有酸素運動は尿酸値の上昇を抑えることができ、さらにダイエット効果も期待できます。
肥満になると、インスリンというホルモンが増加して、腎臓での尿酸の排せつを低下させて尿酸値を上げますので、適切な体重を維持することも大切です。
痛風は薬である程度コントロールができます。激痛の時期が終わったとしても治ったわけではないので、いつかまた再発します。
悪化を防ぐためにも、まずは医師の診察を受けましょう。