キーンベック病(月状骨軟化症)

症状

キーンベック病の症状は、手首の痛みと腫れです。進行すると月状骨(げつじょうこつ)が壊死して潰れていくため、手首を動かせる角度が小さくなり、握力も低下していきます。

また、初期段階では月状骨がある手首の中心部のみに痛みと腫れが見られますが、進行すると手首全体に痛みと腫れが広がります。強い痛いや手首の動かしにくさなどから日常生活に支障をきたすケースもあります。

原因

手首の関節の中心に位置する月状骨という骨が何らかの原因により血行が悪くなり、骨が壊死することでつぶれてきて、痛みがでたり、動きが悪くなる病気です。月状骨が壊死に至る原因は血流が低下することとされていますが、血流低下が生じる明確な発症メカニズムは解明されていません。月状骨の小さく、はっきりと分からない程度の骨折が原因の可能性も考えられています。

職業的に手をよく使用する青壮年期男性に多くみられます。しかし明らかな外傷や職歴のない女性、高齢者にもみられることがあります。また、テニス、ゴルフ、バレーボールなど手首に衝撃がかかるスポーツをしている人でも起こることがあります。

手首を拡大したレントゲン画像→

月状骨がつぶれる。
※月状骨とは手首の真ん中にある骨です

診断

病状と X 線検査で月状骨に変形があれば診断がつきます。

手を使った後、手首に痛みと腫脹、握力の低下、運動制限などの症状に加えて手背の中央に押して痛い(圧痛)ところが存在します。またX線検査では月状骨がつぶれて白く見えたり、変形が生じていれば診断がつきます。MRI検査をすれば、より詳しい状況がわかります。

治療

病状、年齢などによって治療が変わります。

初期や疼痛が強いときには安静やギプス、装具による固定が行われますが、治らない時には、いろいろな手術が行われます。月状骨にかかる力を減らすために橈骨短縮骨切術が行われたり、骨移植等も行われます。

末期では壊死した月状骨を摘出したり、そこに腱球挿入(足などの腱を丸めて丸めて移植)する方法などが行われます。

橈骨短縮骨切術(手術の一例)