変形性膝関節症の治療に使われるヒアルロン酸注射とは?効果・回数・副作用を解説

変形性膝関節症は、関節の軟骨が摩耗し、膝の痛みや可動域の制限を引き起こす疾患です。進行度ごとの治療法や手術の選択肢について詳しく紹介します。

こんにちは!
枚方大橋つじもと整形外科クリニックです。

今回は、当院でも多くの患者さんに行っている【膝のヒアルロン酸注射】について、わかりやすく解説します。

目次

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは、膝の関節の軟骨がすり減り、痛みや腫れ、関節の変形が起こる慢性の病気です。高齢者女性に多く、日本では60歳代の女性で約60%、80歳以上で8割以上が罹患しており、患者数は2500万人以上と推定されています。

変形性膝関節症4
軟骨減少による刺激で骨棘(骨のトゲ)や軟骨下骨硬化、骨のう胞が形成

主な原因

  • 加齢による軟骨の老化
  • 肥満による膝への過剰な負担
  • O脚などの骨格的な要因
  • 運動不足による筋力低下
  • 過去のケガ(半月板損傷など)

主な症状

  • 歩き始めや階段の昇り降りで膝が痛む
  • 動かすと「ギシギシ」「ゴリゴリ」音がする
  • 膝が腫れる・熱をもつ
  • 正座やしゃがみ込みが難しくなる
  • 症状が進むとO脚になり、歩行が困難になる

詳しくはこちらもご覧ください

手術をしない治療法

進行度に関わらず、保存療法(手術をしない治療)が第一選択となります。

これらの治療を組み合わせ、症状の改善を目指します。

症状の強い時のヒアルロン酸注射

鎮痛薬で痛みが改善しない場合は【ヒアルロン酸の注射】を行います。

ヒアルロン酸の効果

ヒアルロン酸を膝の関節内に注射することで以下の効果が期待できます。

  • 関節のすべりを良くして軟骨の摩耗を防ぎ、衝撃を吸収する
  • 関節内の環境が整うことで、軟骨細胞の代謝が改善し、軟骨の再生を促す
  • 炎症を抑制する働きにより、膝に水が溜まりにくくなる
膝のヒアルロン酸注射の効果

投与方法

  • 医師が膝の関節腔に針を刺し、ヒアルロン酸製剤を注入します
  • 外来で短時間(数分程度)で行える治療で、麻酔は不要です
  • 注射後はすぐに歩行可能で、当院では注射後にリハビリを行うことも出来ます

投与回数

一般的には、1週間に1回の注射を5回程度行います。症状が軽い場合や改善がみられた場合は、間隔をあけて継続投与(2~4週ごと)することもあります。
効果の持続期間は個人差がありますが、数週間ほど痛みの軽減が続くケースが多いです。

症状の改善がみられれば、再発予防のために定期的な注射を行う場合もあります。

副作用

ヒアルロン酸の関節内注射は、安全性の高い治療法とされていますが、注射である以上、いくつかの副作用や注意点があります。

① 注射部位の痛み・腫れ・熱感

注射後に膝の周囲が一時的に腫れたり、熱をもったりすることがあります。
通常は数日以内に自然におさまる軽度の反応です。

② 出血や内出血

注射針を刺す際に血管に触れると、少量の出血やあざができる場合があります。

③ 感染(化膿性関節炎)

まれに、関節内に細菌が入って感染を起こすことがあります。
強い痛みや腫れ、発熱などが続く場合は、すぐに医師に相談が必要です。

④ アレルギー反応

極めてまれですが、注射薬に対するアレルギー(発疹・かゆみなど)が起こることがあります。

注意点

  • 注射当日は入浴や激しい運動を避けるのが望ましいです(シャワーは可)。
  • 強い腫れや痛みが出た場合は、冷やして安静にしてください。
  • 糖尿病や免疫疾患のある方は、感染リスクがやや高いため、主治医と相談の上で実施します。
  • 効果を維持するためには、適度な運動や体重管理の他、リハビリで大腿四頭筋などの筋力トレーニングも併せて行うことが重要です。

最後に

膝の痛みは、放っておくと少しずつ進行してしまうことがあります。
ヒアルロン酸注射は、関節の動きをなめらかにし、痛みを和らげる有効な治療のひとつです。
「最近、階段の上り下りがつらい」「歩き出すときに膝が痛む」などの症状がある方は、我慢せずに一度ご相談ください。

枚方大橋つじもと整形外科クリニックでは、患者さん一人ひとりの膝の状態に合わせて最適な治療をご提案しています。お気軽にご相談ください。

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