リウマチ足

原因

関節リウマチは自己免疫疾患であり、免疫系が自分の身体の一部を異物と認識し、これに対する抗体を作り反応を引き起こします。この反応により、関節液を分泌する滑膜という組織にリンパ系細胞が集まり、炎症が始まります。その結果、滑膜は破壊物質を多く生成するようになり、軟骨や骨が次第に破壊されていきます。

重症の場合、関節は固まったり、逆に緩んで変形が進行します。最終的に関節が完全に破壊されると、炎症は収まりますが、変形が残ることが一般的です。

前足部では、指の付け根の関節の炎症により関節破壊が進みます。特に外反母趾の変形が顕著で、他の指にも変形が伴うことがあります。これにより、母趾の内側に突出が生じ、足底にタコができることがよくあります。タコは一度できると治りにくく、削っても再発するため、骨の変形を治す必要があります。

後足部では、足首の複数の関節が破壊され、関節の変形が進行します。このため、外反偏平足などが引き起こされ、足首に痛みが生じることがあります。また、関節の可動域が狭くなり、靴が合わなくなることもあります。

症状

関節リウマチでは手指の変形だけでなく、足にも変形が生じやすいため、足の症状にも注意が必要です。足の変形が進行すると歩行に支障をきたすことがあるため、早期に気づいて対処することが重要です。

リウマチ足は、前足部と後足部に分かれて変形が起こります。前足部では、外反母趾や屈趾変形、タコができ、痛みや歩行障害を引き起こします。後足部では、外反偏平足がよく見られ、足首に腫れが生じ、関節の動きが制限されて歩行障害を引き起こします。靴が片減りしたり、つま先部分が突出したりすることもあります。

診断

関節リウマチと診断されていなくても、しつこい足の腫れや痛みがある場合は、関節リウマチの可能性があります。関節リウマチとすでに診断されている方で、足の変形や症状がある方は、早めに主治医に相談をして治療を開始するよう心がけましょう。

治療

保存的療法

  • まだ変形が進んでいない場合は薬の治療が重要です。特にほかの関節も腫れている場合には、薬を調整する必要があります。
  • 足だけの痛みや変形、まだ変形が軽い場合は足底挿板(靴の中敷き・インソール)やサポーター、靴型装具を用いて痛い部分やタコの部分の負荷を減らします。足指や足首のリハビリも重要です。
  • 痛みや炎症止めの注射を打つことで、痛みや腫れが軽減します。

手術療法

進んだ変形には、程度や年齢、活動性により手術療法を行います。

  • 前足部に対する手術
    主に切除関節形成術、関節固定術、人工関節置換術、関節温存術が用いられます。
  • 後足部に対する手術
    関節破壊が軽度の場合は滑膜切除術、重度の場合は関節固定術や人工足関節置換術が行われます。関節固定術は痛みの原因の関節を固定しますが、術後の歩行に不自由はさほどなく、変形が治り見た目もよくなります。人工足関節置換術は足首の関節に限り、関節の可動範囲が保たれるため術後の動きがスムーズです。

「このくらい」と思わずに、早めに簡単な治療から開始することが、のちに重度の変形へと悪化すること防ぐ重要なポイントです。早めに病院を受診しましょう。

▶参考:日本整形外科学会


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