肩峰下インピンジメント症候群

肩を動かしたときに、肩の骨と筋肉(腱)の間で組織がこすれて炎症が起こることで痛みが出る疾患です。
肩を横から上げたときに「ズキッ」と痛むのが特徴で、特にスポーツや反復動作を行う方、加齢による変化がある方に多くみられます。

「インピンジメント(impingement)」とは「衝突」という意味で、肩の中で骨と筋肉がぶつかってしまう状態を指します。

原因

肩関節は、上腕骨頭(うでの骨の先)肩甲骨の肩峰の間にある「肩峰下滑液包」というクッションのような組織と、腱板と呼ばれる筋肉の腱がスムーズに動くことで成り立っています。

しかし以下のような原因で、腱板や滑液包が骨とぶつかり炎症を起こします。

  • スポーツ(野球、テニス、水泳など)での肩の使いすぎ(オーバーユース)
  • 長時間の手を挙げる動作(職業や家事)
  • 加齢による腱の変性や姿勢の悪化
  • 肩甲骨や体幹の動きのバランスの崩れ

これらにより肩峰の下の空間(肩峰下間隙)が狭くなり、腱板が挟まれる(インピンジされる)ことで痛みが生じます。

症状

  • 腕を横や前に上げるときに肩の外側が痛い
  • 特に60〜120度くらいの範囲で痛みが強くなる(ペインフルアークサイン)
  • 夜間痛があり、寝返りで痛みが強くなる
  • 肩の動かしにくさ(可動域制限)
  • 放置すると腱板損傷や五十肩(肩関節周囲炎)に進行することも

痛みの部位は肩の前側や外側に多く、腕を下ろしているときは比較的軽いのが特徴です。

診断

診察では、まず痛みが出る動作・姿勢・発症経緯を丁寧に伺います。
続いて、肩の動きの範囲・筋力テスト・圧痛部位の確認などを行い、症状の原因を評価します。

必要に応じて以下の検査を行います。

  • X線(レントゲン)検査:骨の形や肩峰の形状、骨棘(こつきょく)の有無を確認
  • 超音波(エコー)検査:腱板の炎症や滑液包炎をリアルタイムに観察
  • MRI検査:腱板損傷や滑液包炎の程度を詳細に確認

治療

保存療法

  • 安静・動作制限:痛みを悪化させる動きを控える
  • 薬物療法:消炎鎮痛薬(内服・外用)で炎症を抑える
  • 注射治療:局所麻酔薬やステロイド注射を肩峰下滑液包に注入し、炎症や痛みを軽減

理学療法(リハビリ)

症状が落ち着いた後は、再発を防ぐためにリハビリが重要です。理学療法士が以下のようなリハビリを行います。

  • 肩甲骨や体幹を含めた姿勢・動作の改善
  • 肩周囲筋(特に腱板・肩甲骨周囲筋)のストレッチと筋力強化
  • 痛みの出ない範囲での可動域訓練
  • スポーツ動作の再獲得(フォーム指導)

リハビリによって、肩の動きを滑らかにし、骨と腱の衝突を防ぐことができます。

手術療法

保存療法で改善しない場合や、腱板損傷を合併している場合には、関節鏡視下手術で肩峰下の骨の一部を削って空間を広げる(肩峰下除圧術)ことがあります。
当院では、必要に応じて専門医療機関と連携し、手術後のリハビリも一貫してサポートします。

肩の痛みは放っておくと長引きやすく、日常生活やスポーツに支障をきたすことがあります。
無理をせず、早めの診断と正しいリハビリで改善を目指しましょう。

▶参考:日本整形外科学会
▶監修:辻本武尊(枚方大橋つじもと整形外科クリニック院長・医学博士)