脊椎・脊髄疾患
当クリニックの院長は脊椎脊髄外科専門医および指導医の資格を持ち、長年脊椎・脊髄疾患の治療に携わってきました。全国的にも有名な脊椎・脊髄病院で勤務し、1000件以上の執刀(助手も含めると2000件以上)の手術経験があります。さらには国内外の学会発表および多数の英語論文を発表してきました。
その経験を活かし、クリニックでも専門的な脊椎・脊髄の治療を行いますので、気になる症状のある方はお気軽に受診ください。
脊椎について
椎骨・椎体
脊椎は椎骨という骨が連なってできたものです。
椎骨は部位によって名称や形状、役割が分かれており、頚椎(首)7個、胸椎(胸)12個、腰椎(腰)5個、仙椎、尾骨からなります。
横から見ると、頚椎、胸椎、腰椎、仙椎はそれぞれ前後に弯曲しています。
アルファベットのSのような形で、頚椎と腰椎は前弯、胸椎と仙椎は後弯しています。
椎体とは椎骨の円柱状の部分のことを言い、頚椎、胸椎、腰椎で形が異なります。
腰椎にかかる負担は大きいため、もっとも幅広く大きな形をしています。
椎間板
椎骨と椎骨の間には椎間板があります。中心はゼリー状の髄核で、その周辺は線維輪で層状に覆われています。
衝撃を吸収し、脊椎を柔軟に保つ役割があります。
椎間関節
連結した椎骨と椎骨が椎間関節を構成します。これにより首や上半身の運動を可能にしています。
他の関節と同様に、骨同士が靭帯と関節でつながれ、ずれたり、動きすぎることを防いでいます。
また、椎間関節の向きによって、首や体の動く方向が決まっています。
靭帯
靭帯は椎骨と椎骨をつないで脊椎を安定させています。
椎体の前面には幅広く走行する前縦靭帯が、椎体の後面には後縦靭帯が走行しています。
後縦靭帯は、椎間板が真後ろへ突出して脊髄を圧迫しないように抑える役割もあります。
この他、椎弓や棘突起をつなぐ靭帯などがあります。
椎孔と脊柱管
椎骨を上から見ると、椎孔とよばれる空間があります。
いくつもの椎体が連結し、椎孔が重なると管になります。
この管を脊柱管といい、その中を脊髄や馬尾神経が通っています。
椎骨を横から見ると、椎間孔と言う穴があります。
脳から出た脊髄は、背骨に沿ってお尻まで伸びていますが、途中の所々で椎間孔を通り枝分かれしています。
枝分かれした細い神経は、筋肉や内臓、腕や足にまで到達して、脳からの指令を伝達しています。この細い神経のことを「神経根」と呼びます。
脊髄について
脊髄は、脳が出した指令をからだの各部位に伝える連絡通路です。また、からだが外部から何かの刺激を受けたとき、その刺激に関する情報が脊髄を通って脳まで伝えられます。
脊髄は、体の末端へ伸びる神経の枝(脊髄神経)を出しながら第1~第2腰椎(L1~L2)のあたりまで伸び、その先は、馬のしっぽのように分岐します。この部分をその形状から馬尾(ばび)神経と言います。
脊髄は身体のすみずみに分布している末梢神経と繋がっています。末梢神経は運動神経・感覚神経・自律神経に分けることができます。
これらの神経の働きにより、手足の動きを司ったり、冷たさや痛み、位置などの感覚を自覚することができます。また、排尿や排便、呼吸などについても重要な役割を担っています。
脊髄が損傷された場合、損傷部位より下の髄節支配領域の末梢神経の機能が消失したり、障害が生じることが多いです。そのため一般的に、損傷レベルが高位であるほど障害は重くなります。
デルマトーム
脊髄神経が支配する皮膚感覚の領域のことをデルマトームといいます。
デルマトームを理解することで、実際に痛みや痺れが生じている部位から、どの脊髄神経が障害されているのかを知ることができます。
頚椎について
頚椎は、脊椎の一部であり、首の後ろから胸椎につながる部分を指します。頚椎はC1からC7までの7つの椎骨で構成されています。頚椎は首の支持や保護、頭部の動きを可能にする重要な役割を果たしています。
頚椎の動きは他の部位の椎骨に比べて多彩であり、頭部の回転や傾斜、前屈、後屈などの動作を可能にします。
頚椎に位置する脊髄の部分を頚髄と呼びます。
頚髄からは主に首や肩回り、上肢に末梢神経が伸び出ています。
頚髄を損傷された人は、上肢以下の運動機能や感覚が障害されます。呼吸に関わる筋肉も動かすことができなくなるため、肺活量も低下します。
また、すべての交感神経と副交感神経の一部は全て頚髄より下の脊髄を通りますので、自律神経が麻痺します。排せつや性機能が障害され、発汗がなくなり、体温や血圧の調節も正常に機能しなくなります。
こんなお悩みはありませんか?
- 首が痛い
- 頭痛がする
- 肩がこる
- 手・腕・肩のしびれ
- 手や腕に力が入らない
- めまいがする
- 首が動かしにくい
- 最近首を強く打った
頚椎の主な病気
胸椎について
胸椎は、頚椎の下の部分から腰椎の上までの部分を指します。
胸椎は12個あり後ろの方に凸型に曲がっています(後弯)。各椎骨は肋骨に接続しているため、他の椎骨と比較して動きが少ない部位になります。
高齢者では胸椎に圧迫骨折が起こりやすく、特に胸椎と腰椎の境目(胸腰移行部)の部分に好発します。
胸椎に位置する脊髄を胸髄といいます。胸髄が損傷した場合、首から下の筋肉や感覚器官の麻痺が現れます。
胸椎の一番下の12番目で損傷が起こった場合には、腰から下の下半身麻痺となりますが、指や手・腕などは自分の意志で動かすことができます。
しかし、一番上の胸椎で損傷が起こった場合、肩や上腕を動かすことはできても、手や指先などの細かい動き(巧緻動作)やひじを曲げるなどの動作ができなくなります。
こんなお悩みはありませんか?
- 背中や胸が痛い
- 手や腕のしびれ
- 息切れがする
- 食欲不振がある
- 吐き気がする
- 飲み込みにくい
- 背中が丸まったり前かがみになる
- 排泄がしにくい
胸椎の主な病気
腰椎・仙椎・尾椎について
腰椎は、腰部(背中と骨盤の間)に位置する椎骨のことを指します。
腰椎は5個あり前の方に凸型に曲がっています(前弯)。腰椎の特徴は、他の椎骨よりも大きくて厚い椎体を持っており、重要な体重を支える役割を果たします。
仙椎は4つの骨からできており、仙椎上部は前の方に凸型に曲がっていて(前弯)、下部は後ろの方に凸型に曲がっています(後弯)
仙椎の下部は尾骨につながっています。仙椎、尾骨は骨盤の一部となっています。
腰椎に関して一番多い悩みは腰痛です。
上半身の重みを支える腰椎は普段の生活の中でも負担が大きく、更に運動などによる衝撃や重い荷物を持ったりすることで、さらに負荷がかかり障害が生じます。
腰椎に位置する脊髄を腰髄と言います。腰髄損傷は、下半身の麻痺や排尿障害が起こります。
しかし腰椎の下位で損傷が起こると、主に膝から下の麻痺となるため、排尿障害が軽度であったり、排尿障害自体がないこともあったりします。
損傷が軽度の場合は「足が少し痺れる」程度の症状のため、気づかずに日常生活を送っている方もいます。
こんなお悩みはありませんか?
- 腰が痛い
- 足が動かしにくい
- 足がしびれる
- 骨粗しょう症を指摘されている
- 背が縮んだ気がする
- 背骨が曲がってきた
腰椎の主な病気
上記以外の病気の可能性もあります。
どの病気も早めの診断が早期回復のカギですので、当院へ気軽にご相談ください。