思春期特発性側弯症

症状

若いうちは側弯で困ることはほとんどありません。しかし、ある程度曲がったままの角度(一般には50度以上)のまま成長が終了してしまうと、将来的に問題(呼吸機能障害、腰背部痛の発症)が生じることが知られているため、側弯の程度により様々な治療を行います。

原因

脊柱側弯症とは、さまざまな原因で背骨が弯曲してしまう病気です。その中でも成長期である小学校高学年から中学校時代に発症する思春期特発性側弯症が全側弯症の80~90%を占め、最も多いものです。

女子が男子の5~7倍多く発症します。一卵性双生児の同胞側弯発症率は90%を超え、母親等に側弯症があるとお子さんの側弯症発生率が高いことが以前から知られており、最近では遺伝子的背景も次第に明らかになってきています。

日本人の約2%に見られ、学校保健法により側弯の学校検診が義務付けられています。

診断

立ち姿勢で、肩の高さ、肩甲骨、ウエストラインの左右差を見るとともに、前かがみで、肩甲骨、ろっ骨、腰などの隆起の左右差を調べます。またレントゲンなどの画像検査も行います。

セルフチェックも可能なので、特に女子の場合は9~10歳頃から、自宅で家族に見てもらうことをお勧めします。

側弯症のセルフチェック

立位検査:
気をつけの姿勢で後ろから見ます。次の所見があれば側弯症の可能性があります。

  1. 肩の高さの左右差
  2. 肩甲骨の高さと突出の程度の左右差
  3. ウエストラインが左右非対称

前屈検査:
両方の手のひらを合わせ、肩の力を抜いて両腕を自然に垂らし、膝を伸ばしたままでゆっくりおじぎをします。肋骨や腰の左右どちらかが盛り上がっているか、左右の高さに差があるかどうかを見ます。

治療

軽度(コブ角20度未満)

症状が軽度の場合は、そこまで大きな問題がないため、半年ないしは1年に1回程度、レントゲン検査を行い、脊柱側わん症が進行しないか確認します。

中等度(コブ角20~40度)

中等度まで症状が進むと、装具療法が有効になります。

胴体にコルセットをつけて脊柱を矯正します。約90%の人に効果が見られますが、3か月から半年に1回程度、レントゲン検査を行い、症状の進行が抑えられているか確認します。

重度(コブ角50度以上、胸腰椎側弯・腰椎側弯の場合は40度以上)

脊柱が大きなS字カーブを描く状態に進行したケースでは、手術が検討されます。

曲がった背骨に対しフックやスクリューと呼ばれる金具を設置し、ロットと呼ばれる棒状の金属を使って、金具どうしをつなげるように通します。その状態で、ロットがまっすぐになるように動かすことで、脊柱を直線状に矯正します。

手術の例