先天性内反足

症状

生まれた時に足の先が内側と下を向き、足の裏が内側を向いてへこんだ変形を示す病気です。全体に硬く簡単に手で矯正出来ません。本来、先天性内反足は麻痺はありませんが、のちに麻痺性内反足と診断される例もあります。

 先天性内反足は約1000人に1人の割合ですが、家族に内反足の人がいると約300人に1人の割合となり、少し多くなります。男女比は2:1で男の子に多く、片足だけ内反足のケースと両足とも内反足のケースはほぼ同数になります。

成長期や成人期に変形が残ると、足の前外側で立ち、かかとは上がって床につけなくなります。歩行時はつま先が内側を向く内曲歩行を示します。関節炎、疲労骨折などで痛みを生じます。また、足の裏にタコや皮膚の潰瘍ができて、痛みの原因になったり、細菌感染を生じる原因になります。

原因

病気の基本は以下の3つです。

  • 足の変形
  • 軟部組織の短縮・拘縮
  • 成長障害

また、変形の構成は以下の通りです。これらはすべて骨の配列異常によるものです。

  • 尖足(足が下を向いている)
  • 内反(足の裏が内側を向く)
  • 内転(足の先が内側を向く)
  • 凹足(足の裏がへこんでいる)


内反足では足の骨がすべて下を向き、これらの骨の最も上にある距骨の周りに他の骨が内側に移動しています。
また前足部の内側部分が内下方に曲がっています。軟部組織の短縮・拘縮は、筋・腱・靭帯・関節包に生じて変形を戻りにくくします。生まれたときに生じているので、多少足が小さく育つことがあります。

先天性内反足3

診断

以下の症状が認められた場合、先天性内反足と診断されます。

  • 尖足、内反、内転、凹足の4つの変形があり、硬い。
  • 麻痺がない。
  • レントゲン写真で内反足の足根骨の配列異常を認める。
  • 他の疾患(先天性内転足、麻痺性内反足、アルトログリポージス、うつぶせ寝症候群、下腿内反・内捻症、大腿骨過前捻角症候群)ではない。

治療

初期治療

  • 自然治癒することはなく、治療が大きく遅れると難治性になる治癒が難しくなるため、できるだけ生後早期に初期保存療法を開始します。
  • 徒手矯正を4~7日ごとに行い、矯正位をギプスで保持します。
  • まず凹足を矯正し、次に内反・内転を、最後に尖足を矯正します。
  • 足関節より下が矯正され、70度外向きに回旋できるようになった段階で、足関節が15度背屈(つま先が上を向く)できなければ、アキレス腱を切る手術を行います。
  • その後は矯正位(足を70度外旋、10度背屈)を保持する器具を4~5歳まで、 主に睡眠時(最初の4か月は1日23時間)に使用します。
先天性内反足1

手術療法

多くの患者さんでアキレス腱を切る手術が必要です。
重症で変形が残るときや再発性の場合は、広く腱・靭帯の延長・切離を行うことがあります。