変性側弯
原因
成人期の側弯症には、大きく分けて2つあります。
1つは小児期の側弯症(思春期特発性側弯症)で、装具によって治療していたが手術までは必要なかった方、経過観察となっていた方、もしくは気づかれなかった方が加齢に伴う老化現象により、背骨の曲がりが進行してくる場合です。
もう一つは、新たに中高齢期になって加齢現象により背骨の曲がりが出てくる場合です。
変性側弯症とは後者によるもので、加齢に伴い、背骨が全体的に側方に曲がってしまいます。骨粗しょう症が影響して側弯が生じてくることもあります。
症状
背骨が大きく曲がることで腰痛や、長く立っていたり、歩くことが困難になります。
背骨を通る神経(脊髄)が挟まれると、おしりや足に神経痛を生じます。また、曲がった背骨が内臓を圧迫し、逆流性食道炎や便秘、重症の場合は食べ物の飲み込むが困難になります。背骨の曲がりが肺の膨らみを阻害すると、息苦しさも感じます。
これらの症状は、経年的に徐々に進行し、日常生活の制限が生じてきます。

診断
腰の後弯の場合は、明らかに腰曲がり状態になっているためよくわかりますが、側弯は外観上分からないケースもあります。いずれもレントゲン撮影によって診断できます。また神経症状を伴う場合、脊髄の圧迫の程度を調べるためMRIが有用です。
治療
保存療法
症状が比較的軽度のうちには、筋力トレーニングや体幹・下肢のストレッチ、コルセット、痛み止め、低周波療法などの治療で症状が軽減することもあります。

手術療法
背骨の曲がりが強く、腰痛や神経痛などにより日常生活制限が強い時は手術治療を考慮します。
手術方法は状態により様々です。骨を削り神経への圧迫を解除するだけで良い場合は、手術用顕微鏡や内視鏡を用いた繊細な技術が有効な場合があります。さらに、変形が非常に強く身体のバランスが悪い場合には、インプラントで広範囲に背骨の変形を矯正して固定する手術をせざるを得ないこともあります。

▶参考:日本整形外科学会
当クリニックでは、患者様の症状や治療に合わせた疾患別パンフレットをご用意しています。
下記リンクからもダウンロードできますので、ご活用ください。