筋挫傷
筋挫傷とは、筋肉を外から強く打ったりぶつけたりして損傷した状態をいいます。
いわゆる「打撲」の一種で、筋肉の中で出血や炎症が起こり、痛み・腫れ・内出血が現れます。
肉離れ(筋断裂)が「筋肉の中で引き伸ばされて切れるケガ」であるのに対し、筋挫傷は「外からの衝撃で押しつぶされるように損傷するケガ」という違いがあります。
原因
筋挫傷は主に次のような場面で起こります。
- スポーツ中に相手選手やボール・器具と強く接触したとき
- 転倒や打撲によって筋肉を強くぶつけたとき
- 野球・サッカー・ラグビー・バスケットボールなどの接触プレー時
- 太ももやふくらはぎなど、筋肉量の多い部位に多く発生
衝撃によって筋肉の中の血管が損傷し、筋肉内に出血や腫れ(血腫)が起こります。
症状
- 打った部分の痛み・腫れ・内出血(青あざ)
- 筋肉を伸ばす・押すと痛い(圧痛・伸展痛)
- 患部の熱感や軽度のしこり感
- 動かすと痛みが強く、歩行や運動が困難になることも
受傷直後よりも数時間後〜翌日に痛みや腫れが強くなることがあります。
重症の場合は、筋肉の中に大きな血のかたまり(血腫)ができることもあります。
診断
診察では、受傷の状況・痛みの場所・腫れや内出血の程度を確認します。
必要に応じて以下の検査を行います。
- MRI検査:損傷の深さや広がりを詳しく評価(重症例やスポーツ選手に有用)の断裂の程度を評価し、必要に応じて以下の検査を行います。
- 超音波(エコー)検査:筋肉内の出血や血腫の範囲をリアルタイムに確認
治療
肉離れの治療は、損傷の程度に応じた段階的なリハビリが重要です。
急性期(受傷~48時間ほど)
RICE処置を徹底します。
- Rest(安静):動かさず筋肉を休ませる
- Ice(冷却):氷で10〜20分間冷やし、炎症と腫れを抑える
- Compression(圧迫):包帯などで軽く圧迫して内出血を最小限に
- Elevation(挙上):心臓より高く上げ、腫れを軽減
強くマッサージしたり温めるのは逆効果です(出血が悪化します)。
回復期(3日~2週間)
- 痛みや腫れが落ち着いてきたら、温熱療法・軽いストレッチを開始します。
- 理学療法士によるリハビリで、可動域を保ち再発を防ぎます。
- 超音波治療や低周波治療で血流を促進し、治りを早めます。
再発予防期(2~4週間以降)
- 筋力や柔軟性を回復させるための筋トレ・ストレッチ・動作訓練を行います。
- スポーツ動作の再獲得やフォーム修正も大切です。
症状が改善しても、腫れや血腫が完全に吸収される前に復帰すると再発や拘縮(動きの制限)が残ることがあります。
合併症に注意
重度の筋挫傷では、筋肉内に血が固まって「骨化性筋炎」を起こすことがあります。
これは、筋肉内でカルシウムが沈着して骨のように硬くなる状態で、無理なマッサージや早すぎる運動再開が原因になることがあります。
痛みや腫れが強い場合は、必ず整形外科で確認しましょう。

筋挫傷は初期対応がとても大切です。
早期に適切な治療を行えば、ほとんどの方が後遺症なく回復できます。
痛みが引かない場合や腫れが続くときは、無理をせずご相談ください。
▶参考:日本整形外科学会
▶監修:辻本武尊(枚方大橋つじもと整形外科クリニック院長・医学博士)
