内側側副靭帯(MCL)損傷

原因

膝の内側側副靱帯とは、膝の内側に存在する靭帯です。 大腿骨から脛骨についています。

膝の内側側副靱帯は、膝の外側からかかるストレスへ抵抗し、ひざ内側の安定性を保つ役割があります。

内側側副靭帯は全スポーツ外傷の7%を占めています。接触型のスポーツで直接膝の外側から力が加わって受傷するもの(ラグビーや柔道など)、非接触型のスポーツで減速動作の多いもの(バスケットボールやバレーボールなど)や膝を外反・内反させる動作の多いもの(スキーなど)で受傷する頻度が高くみられます。

症状

内側側副靱帯損傷は、膝の靭帯損傷の中で最も頻度の高い外傷であり、その多くがスポーツ中に発生します。外側からのひざへの衝撃やひねりなどで、靭帯が損傷することにより起こる傷害です。

主な症状
  • 膝の痛み:
    膝の内側に強い痛みがあります。圧迫や外反(膝が「くの字」に曲がる)によっても激しく痛みます。
  • 膝の腫れ:
    膝の内側に腫れが生じます。重症例では前十字靱帯(ACL)損傷を合併している場合があり、関節内に血が溜まり、膝が腫れます。
  • 膝の不安定感:
    膝の内側にある靭帯が不安定になることで、横方向から負荷に対し不安定感があります。
  • 膝の動きの制限:
    痛みにより膝の曲げ伸ばしが制限されることがあります。

診断

問診や徒手検査により、痛みや腫れ、膝の可動域、安定性などを評価します。また、内側側副靱帯損傷は、MRI検査や医師による靭帯ストレステストなどで、重症度を3段階のレベルで分けられます。

Fetto&Marshallに基づく分類
GradeⅠMCLの疼痛のみ、外反ストレステスト0°、30°ともに陰性
GradeⅡ外反ストレステスト0°陰性、外反ストレステスト30°陽性
GradeⅢ外反ストレステスト0°、30°ともに陽性→手術適応

治療

保存的療法・理学療法

テーピングやサポーターでひざを固定し、可動域訓練や歩行練習や筋力訓練を行います。
損傷度合いによりますが、保存療法では1~3カ月程度での競技復帰を目指します。

膝のサポーターの例

手術療法

Ⅲ度の重症の時では手術を行う場合もあります。その場合は切れた内側側副靱帯を縫合する靭帯縫合術、自分の腱を移植する靭帯再建術などが行われます。

損傷が側副靭帯のみの場合、保存療法、手術療法ともに予後は良好ですが、複合的な損傷の場合はゆるみが生じやすいため、後に半月板損傷などを受傷する可能性が高くなります。


当クリニックでは、患者様の症状や治療に合わせた疾患別パンフレットをご用意しています。
下記リンクからもダウンロードできますので、ご活用ください。