骨粗鬆症の治療薬をわかりやすく解説|骨吸収抑制薬・骨形成促進薬・補助薬の違いとは

骨粗しょう症の治療では、「骨を強くして骨折を予防すること」が最も大切な目的です。
骨粗しょう症の治療薬にはいくつかの種類があり、骨の状態や年齢、骨折リスクなどに応じて使い分けていきます。

目次

骨吸収抑制薬

骨吸収抑制薬とは、「骨が壊れるのをゆるやかにする薬」です。

骨は一度作られたら終わりではなく、
「骨を作る働き」と「骨を壊す働き」を繰り返して入れ替わっています。
しかし、骨粗しょう症では骨を壊すスピードの方が早くなり、骨がスカスカになってしまいます。

骨吸収抑制薬は、この“骨を壊す働き(骨吸収)”を抑えることで、骨密度の低下を防ぎ、骨をもろくなりにくくする薬です。
例えると、減っていく骨を守る「ブレーキの役割」をする薬といえます。

この薬を使うことで、骨密度の低下をゆるやかにし、背骨や太ももの付け根などの骨折リスクを下げる効果が期待できます。
特に、骨折を予防するための基本となる治療薬として、多くの患者さんに使用されます。

主な種類には、飲み薬、注射薬、点滴薬があり、生活スタイルや骨折リスクに合わせて選択されます。
例えば、週1回または月1回の内服薬、半年に1回の注射薬、年に数回の点滴薬などがあります。

また、骨を壊す働きを抑える薬であるため、すぐに骨が増えるというよりは、骨が減るスピードを抑えて骨を守るイメージの治療です。
そのため、カルシウムやビタミンDの補充、運動療法などと併用しながら、長期的に治療を続けていくことが大切です。

自覚症状が少ない骨粗しょう症でも、治療を継続することで将来の骨折予防につながります。
特に、骨密度が低い方や骨折歴のある方では、骨吸収抑制薬が重要な治療の中心となります。

薬の種類

ビスホスホネート

骨吸収を抑え、骨密度を増加させる効果があります。骨粗しょう症の治療によく使用される薬で、内服薬や注射薬の種類があります。内服薬は正しく服用しないと胃や食道に負担がかかることがあるため、服用時の指示を守ることが大切です。

  • アレンドロネート(アレンドロン酸)
  • イバンドロネート(ボンビバ)など
選択的エストロゲン受容体作働薬(SERM)

女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きで、破骨細胞の活動を抑え、骨量(骨密度)の減少を防ぐ薬です。主に内服薬として使用され、閉経によりエストロゲンが低下して生じる骨粗鬆症の治療に用いられます。

  • ラロキシフェン(エビスタ)など
抗RANKL抗体

RANKLは、破骨細胞の形成や活性化を促すたんぱく質です。
この薬はRANKLの働きを抑えることで骨吸収を抑制し、骨量(骨密度)の増加が期待できます。
また、背骨(椎体)や足の付け根(大腿骨近位部)の骨折リスクを低下させる効果も報告されています。医療機関で行う皮下注射薬で、6ヵ月に1回の間隔で投与します。

  • デノスマブ(プラリア)

骨形成促進薬

骨形成促進薬とは、骨をつくる細胞(骨芽細胞)の働きを高めて、新しい骨を増やす薬です。
弱くなった骨を「壊れにくくする」のではなく、「骨そのものを作って強くする」治療が特徴です。

骨粗鬆症では、骨は「壊す働き(骨吸収)」と「作る働き(骨形成)」のバランスが崩れ、骨が減っていきます。
骨形成促進薬は、このうち骨を作る働きを積極的に高めることで、骨量(骨密度)を増やし、骨折しにくい骨へと改善していきます。

特に、
・骨密度が非常に低い方
・すでに骨折を起こしている方
・骨折のリスクが高い重症の骨粗鬆症の方
などに使用されることが多い薬です。

主に注射薬で、自己注射タイプ(毎日・週数回)や、医療機関で定期的に注射するタイプがあります。
治療期間は原則として一定期間(多くは最長2年)と決められており、その後は骨を維持する薬(骨吸収抑制薬など)へ切り替えていくことが一般的です。

骨形成促進薬は、骨折のリスクを大きく下げる効果が期待できる一方で、適応となる患者さんが限られるため、骨密度や骨折歴、全身状態を評価したうえで医師が治療方針を決定します。

薬の種類

副甲状腺ホルモン薬

骨芽細胞を活性化して骨形成を促し、骨量(骨密度)を増やす薬です。
特に背骨(椎体)の骨折リスクを低下させる効果があります。

皮下注射薬で、1日1回自己注射、週2回自己注射、または医療機関で週1回注射するタイプがあります。骨密度が著しく低い方や骨折リスクが高い方、すでに骨折している方に用いられ、治療期間は原則最大2年(24カ月)です。

  • テリパラチド(テリパラチドBS皮下注キット)

骨吸収を抑え、骨形成を促進する薬

骨吸収を抑え、骨形成を促進する薬とは、
「骨が壊れるのを防ぎながら、骨を作る働きも高める」タイプの骨粗鬆症治療薬です。

この薬は、骨を壊す働きを抑えると同時に、骨を作る働きも促すことで、骨量(骨密度)の増加が期待できるのが特徴です。
そのため、骨を「守る」と「増やす」の両方に作用する治療薬といえます。

特に、骨密度が大きく低下している方や、骨折リスクが高い方、すでに骨折を経験している方などに使用されることがあります。
多くは注射薬で、医療機関で定期的に投与するタイプの治療です。

骨密度の改善効果が高く、骨折予防にも有効とされていますが、患者さんの骨の状態やリスクに応じて適切に選択される薬です。

薬の種類

抗スクロレチン抗体

スクレロスチンは骨形成を抑える働きをもつ物質です。
抗スクレロスチン抗体はこの働きを抑えることで骨形成を促し、同時に骨吸収も抑えて骨量(骨密度)を増やします。

皮下注射薬で、医療機関にて月1回、12カ月間投与します。
骨密度が著しく低い方や骨折リスクが高い方、すでに骨折している方に用いられる治療です。

骨に必要な材料を補充、または骨代謝をサポートする薬

骨に必要な材料を補充、または骨代謝をサポートする薬とは、
骨を作るために必要な栄養や働きを補い、骨の健康を保つための薬です。

骨はカルシウムやビタミンDなどの栄養を材料として作られており、これらが不足すると骨が弱くなりやすくなります。
このタイプの薬は、不足しがちな成分を補ったり、体内での吸収を助けたりすることで、骨代謝(骨の入れ替わり)を整える役割があります。

主にカルシウム製剤、ビタミンD、ビタミンKなどがあり、骨粗鬆症の基本的な治療として他の薬と併用されることが多いのが特徴です。
骨密度を大きく増やす薬ではありませんが、治療の土台となる重要な薬であり、継続して使用することで骨折予防のサポートにつながります。

カルシウム

カルシウムは骨の主要な構成成分で、骨代謝に欠かせない栄養素です。
骨密度を大きく増やす効果は比較的弱いため、他の骨粗鬆症治療薬と併用されることが多いです。

骨粗鬆症では1日約1000mgの摂取が推奨され、食事で不足する場合は内服で補います。
500mg以上を薬で摂取する場合は、複数回に分けて服用します。

活性型ビタミンD3

活性型ビタミンD3は、腸でのカルシウムやリンの吸収を促進し、骨代謝を助ける薬です。
骨形成を促し、骨吸収を抑えることで骨量(骨密度)の増加が期待でき、椎体(背骨)の骨折リスク低下にも効果があります。薬の種類は内服薬です。

ビタミンK2

ビタミンK2は、不足すると太ももの付け根(大腿骨近位部)の骨折リスクが高まるとされています。
骨量(骨密度)の維持や軽度の増加が期待でき、骨折予防にも一定の効果があります。
主に閉経後の骨粗鬆症の方に処方される内服薬です。

骨粗しょう症の治療では、骨密度や骨折リスクなどの重症度に応じて、適切な薬を選択することがとても重要です。
重症度が高いにもかかわらず内服薬のみで経過をみてしまうと、十分に骨折リスクを抑えられない可能性があります。さらに、治療のタイミングによっては、その後に使用するより効果の高い注射薬の効果を十分に発揮できなくなる場合もあります。

また、年齢も重要な判断材料の一つです。比較的若い段階で適切な治療を開始することで薬への反応が得られやすく、将来の骨折予防や健康寿命の維持にもつながります。

当院では、日本骨粗鬆症学会認定医である院長が、骨密度や骨折歴、年齢、生活背景などを総合的に評価し、患者さん一人ひとりに適した治療薬を選択しています。
さらに、看護師が生活習慣やお困りごとを丁寧に伺いながら、無理なく治療を継続できるようサポートいたします。

安心して骨粗しょう症治療を継続していただけるよう、チームでしっかりと支援してまいります。

▶監修:辻本武尊(枚方大橋つじもと整形外科クリニック院長・医学博士)

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