骨粗しょう症が将来に及ぼす影響とは

骨粗鬆症は「骨が弱くなる病気」として知られていますが、本当に注意すべきなのは“骨折のその後”です。
一度の骨折が、その後の生活や健康に大きな影響を及ぼすことが分かっています。

1.骨折は繰り返し起こりやすくなります(連鎖する骨折)

骨粗鬆症による骨折を一度経験すると、その後の二次骨折のリスクは大きく上昇します。
特に背骨や大腿骨の骨折後は、次の骨折が起こりやすくなることが報告されています。

また、既存の骨折数が増えるほど、新たな骨折の発生リスクはさらに高くなります。
つまり「1回の骨折で終わり」ではなく、「骨折の連鎖」が起こる可能性があるのです。

骨折の連鎖について

2.日常生活動作(ADL)や自立度の低下につながります

骨折後は、

  • 歩行が困難になる
  • 日常生活に支援が必要になる
  • 入浴や外出が一人でできなくなる

といった機能低下がみられることがあります。
実際に、骨折後には「普段の活動に支障がある」と感じる方の割合が高いことが示されています。

特に大腿骨近位部骨折では、

  • 自力歩行が難しくなる
  • 介護が必要になる
    といった生活の大きな変化につながる場合もあります。
椎体骨折の予後
大腿骨近位部骨折の予後

3.QOL(生活の質)の低下と社会的影響

骨折は単なるケガではなく、慢性的な腰背部痛や活動量の低下を引き起こし、
外出機会の減少や社会参加の制限につながることがあります。

さらに、

  • 入院や介護費用の増加
  • 家族の介護負担
    など、身体面だけでなく社会的・経済的な影響も無視できません。

一度低下した身体機能や生活の質は、骨折前の状態まで完全に回復しないことも少なくありません。

骨折による経済的な負担の例

4.死亡リスクの上昇にも関係します

骨粗鬆症による骨折、とくに大腿骨骨折や椎体骨折は、
その後の健康状態に大きく影響し、1年以内の死亡リスクが上昇することも報告されています。

これは、

  • 活動量の低下
  • 合併症の増加
  • 全身状態の悪化
    などが関係していると考えられています。
骨折による死亡リスクの上昇

5.だからこそ「最初の骨折予防」が重要です(STOP at One)

骨粗鬆症治療の最大の目的は、
骨折を予防し、将来の生活の質を守ることです。

一度骨折してからでは、

  • 機能低下
  • 二次骨折
  • 介護リスク
    といった影響が連鎖的に起こる可能性があります。
二次性骨折を予防する重要性

そのため、

  • 早期の骨密度検査
  • 適切な薬物療法
  • 運動療法・栄養管理
    を継続し、「最初の骨折を防ぐこと」が将来の健康を守る最も重要なポイントとなります。

骨粗鬆症は自覚症状が少ない病気ですが、放置すると将来の生活に大きな影響を及ぼします。
将来の骨折と生活の質を守るためにも、早期の評価と継続的な治療が大切です。


監修:辻本武尊(枚方大橋つじもと整形外科クリニック院長・医学博士)

シェアしていただけると嬉しいです!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次