腰部脊柱管狭窄症とは?原因と仕組みをやさしく解説

◆ 脊柱管が狭くなる仕組み
腰の中には、神経の通り道である「脊柱管(せきちゅうかん)」があります。加齢や姿勢の癖、腰への負担が重なることで、この通り道が徐々に狭くなり、神経が圧迫されて症状が出ます。主な原因は次の4つです。
① 加齢による骨や関節の変化
年齢とともに腰椎の関節(椎間関節)が変形し、関節の縁に“余分な骨=骨棘(こっきょく)”ができます。これが内側に張り出すと、神経のスペースが狭くなり神経が圧迫されます。
② 椎間板の変性による後方突出
椎間板は、水分が減るとつぶれたように低くなり、後ろ側へふくらむ傾向があります。この膨らみが脊柱管へ押し込むことで、神経を圧迫します。
③ 黄色靭帯の肥厚(ひこう)
脊柱管の後ろ部分には「黄色靭帯」という厚い靭帯があります。加齢や負担で硬く厚くなると、脊柱管の中へ張り出して神経の通り道を狭めます。
④ 椎間関節の不安定性
腰椎がぐらつくようになると、関節面がこすれて骨棘ができたり、靭帯が厚くなったりと、脊柱管の狭窄を進行させる原因になります。

◆ なぜ歩くとつらくなるのか?
歩くと痛みやしびれが強くなり、少し座って休むと楽になる――これが“間欠性跛行(かんけつせいはこう)”です。
● 歩くと症状が悪化する理由
歩行時は腰椎が自然に反る(伸展する)姿勢になります。
すると、
- 椎間関節が近づく
- 黄色靭帯が内側に押し出される
- 椎間板が後ろへふくらむ
といった変化が強まり、脊柱管がさらに狭くなり、神経圧迫が増えるため症状が悪化します。
● 前かがみになると楽な理由
前屈姿勢をとると脊柱管が開き、神経のスペースが広がり圧迫が解除されます。
そのため、
- 自転車を長くこいでも症状は悪化しない
- カートを押して歩くことが楽
という特徴が現れます。これは狭窄症に典型的なサインです。

◆ 坐骨神経痛との違い
腰部脊柱管狭窄症でも「坐骨神経痛のような痛み」が出ることがありますが、両者は原因や生じ方が異なります。
● 坐骨神経痛とは症状の“名前”
坐骨神経痛は「病名」ではなく、
**お尻〜太もも〜足に走る神経痛をまとめて表す“症状名”**です。
原因は椎間板ヘルニア、筋肉の過緊張、腫瘍などさまざまです。
● 脊柱管狭窄症は“原因のはっきりした疾患”
脊柱管が狭くなって神経が圧迫されている、という明確な構造的原因があります。そのため、
- 歩くと悪化、休むと改善
- 前かがみで楽
といった特徴的なパターンが見られます。
● 症状の違い(患者さんがよく感じる差)
| 項目 | 脊柱管狭窄症 | 坐骨神経痛(症状名) |
|---|---|---|
| 痛みの出方 | 歩くと悪化、休むと軽減 | 動作に関係なく出ることも |
| 姿勢の影響 | 前かがみで楽、反ると悪化 | 姿勢で変わらない場合も |
| 感じやすい症状 | しびれ、脱力、冷感、間欠性跛行 | 鋭い痛み、電気が走る痛み |
| 原因 | 脊柱管の狭窄 | 椎間板ヘルニアなど多様 |
今回は腰部脊柱管狭窄症の原因と仕組みについて解説しました。次回は「腰部脊柱管狭窄症の代表的な症状とセルフチェックについて」解説する予定ですので、今回はここまでです。

▶監修:辻本武尊(枚方大橋つじもと整形外科クリニック院長・医学博士)

