【美唄】北海道せき損センター【院長の人生ノート36】

 斗南病院での半年を終え、10月に北海道せき損センターへ異動となりました。せき損センターは北海道のほぼ中央の美唄市にある病院で、九州の総合せき損センターと並んで日本に2か所あるせき損センターの一つです。北海道中から年間約120例の脊髄損傷患者の救急搬送やヘリ搬送があり、脊損患者の緊急手術も多い病院です。次女が生まれたばかりの私は半年間の単身赴任でせき損センターに赴任しました。

 脊損センターには副院長(当時)の須田浩太先生と部長の小松幹先生がおられ、その二人を中心に手術加療を担っておりました。さらには、せき損センターの特徴の一つとして、手術だけでなく脊損患者のリハビリを集中的に担う回復期病棟を自前で持ち、脊損患者に特化したリハビリプログラムを組んで行うことができることが挙げられます。そのため、手術だけでなく、術後のリハビリも自分たちで集中的に行うことができ、脊損患者が術後のリハビリで回復し、社会復帰するまでの過程を詳細にフォローすることができます。

 北海道せき損センターは北大の関連病院ではありますが、北大だけでなく全国の大学から脊損治療を勉強しに脊椎医師が研修にくる病院です。しかし、私がいた半年間のうち最初の3か月間は須田先生、小松先生以外の脊椎医師は私しかおりませんでした。この状況は非常に忙しいということを意味しますが、逆に私は非常にラッキーだったと思っております。なぜなら、緊急手術を含めてほぼすべての脊椎手術において私が助手をさせて頂けたからです。助手だけでなく、緊急手術になった脊損患者の大部分は私が執刀させて頂き、多くの手術経験を積むことができました。おかげさまで、頚椎・胸椎レベルの後方インプラント手術の基礎は脊損センターで学ばせて頂きました。

須田浩太先生、外国人留学生と札幌の寿司店で

 美唄を含む北海道空知地域は世界有数の豪雪地帯として知られています。私がせき損センターに赴任した半年間の間は、美唄はほぼ雪に覆われていました。単身赴任中は病院の敷地内にある宿舎に住んでおり、早朝に雪に覆われた道を半分埋まるようにして進み、夜には踏み固められて氷のようになった雪で滑ってしまわないように気を付けながらそっと歩いたことが思い出されます。

 須田先生には半年の間に海外学会に二度連れて行ってもらいました。国際頚椎学会(CSRS)で米国アリゾナ州のリゾート地スコッツデールへ、国際頚椎学会ヨーロッパ(CSRS Europe)ではイタリアのローマで行われた学会に参加させて頂きました。海外学会への参加は、学会での刺激以外にも異文化に触れることでリフレッシュすることができ、そこでしか得られない喜びがあります。

米国アリゾナ州セドナにて(2018年 CSRS)
バチカン市国サンピエトロ広場で須田浩太先生と(2019年 CSRS Europe)

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